2025年8月号
特集
日用心法
対談
  • スポーツジャーナリスト増田明美
  • 作家・エッセイスト浅見帆帆子

日常のレベルを
上げる生き方

「一冊の本が人生を変える。その本に巡り会えた人は幸せである」と古人の言にある。エッセイストの浅見帆帆子さんが24歳の時に著し、100万部を超えるベストセラーになった『あなたは絶対! 運がいい』。スポーツジャーナリストの増田明美さんはその本を読み、たった2つのことを実行しただけで、人生が大きく好転した。浅見さんもかねて増田さんのファンだったという。1冊の本との運命的な出逢いから20数年の時を経て、このたびお二人が初めて対面を果たした。終始笑顔が溢れ、ぴったりと呼吸の合った人間学談義から「日常のレベルを上げる生き方」のヒントを掴む。

    この記事は約26分でお読みいただけます

    1冊の本との出逢いが人生を変えた

    増田 さん、初めまして。きょうはお目にかかれて嬉しい。

    浅見 こちらこそ。昔から大ファンだったので、私もお会いできることを楽しみにしていました。
    以前、増田さんが新聞のコラムに、私の本を読んで人生が好転したと書いてくださいましたよね。すごく嬉しくて、その切り抜きをいまも大事に取ってあります。

    増田 ありがとうございます。すごく影響を受けましたから。最初に帆帆子さんの本を読んだのは、いまから20数年前ですね。お顔のお手入れをしていただいていた素敵な先輩の女性が「増田さんにこの本は合うわよ」と紹介してくれたのが『あなたは絶対! 運がいい』でした。

    浅見 光栄です。24歳の時に出した最初の本ですね。おかげさまで100万部を超える私の代表作になっています。

    増田 実はしばらくしてからその方に『致知』も紹介していただきました。以来ずっと愛読しているんです。
    帆帆子さんの本を読んで目からうろこが落ちました。心のレベルを上げることが大事だって書いてあるでしょ。そのために意識することのすべてはできそうにないけど、「言い訳をしない」と「を言わない」という言葉が心に響きましたね。これは私の欠点で、思ったような結果が出ないとすぐ言い訳や愚痴をこぼしていましたから。それだけを実行したの。
    この2つを積み重ねていくうちに、いかに自己中心的で我の強い人間だったか分かりました。するとだんだん前向きなエネルギーが湧いてきて、見える景色も変わってきましたよ。だから、私にとって帆帆子さんは神様みたいな存在。

    浅見 いやいや、そんなもう恐れ多い。鳥肌が立ってきました(笑)。

    増田 本当にそう思っています。人との出逢いが人生を変えるって言いますけど、本との出逢いもまたしかりです。

    浅見 そうですよね。本との出逢いが魅力的なのは、その後何回も読み返すことによって、「前こんなこと書いてあったかしら」と別の部分にすごく心を揺さぶられたりする。新しい気づきやそれまでとは全然違う見方が生まれるところにあると感じます。

    増田 いま大阪芸術大学の学生たちに「スポーツと健康」を教えているんですけど、「身体的な健康はもちろん、心の健康が大切よ」と言って、帆帆子さんの本を紹介しているんです。

    スポーツジャーナリスト

    増田明美

    ますだ・あけみ

    昭和39年千葉県生まれ。成田高校在学中、長距離種目で次々に日本記録を樹立。59年のロサンゼルスオリンピックに出場。平成4年に引退するまでの13年間に日本最高記録12回、世界最高記録2回更新という記録を残す。現在はスポーツジャーナリストとして執筆活動、マラソン中継の解説に携わるほか、ナレーションでも活躍中。また、大阪芸術大学教養課程教授、日本パラ陸上競技連盟会長なども務める。最新刊に『調べて、伝えて、近づいて』(中央公論新社)。

    発信する人間の心がワクワクしているか

    増田 帆帆子さんのYouTubeが最近はとても勉強になっていて、朝のアファメーション、自分の気持ちが一番上がる言葉を唱えてから一日をスタートしています。
    あと、苦手な人との付き合い方。苦手な人とは距離を置けばいいだけよねとずっと思っていたんです。でも、苦手な人は自分にギフトを与えてくれているって。

    浅見 そうなんですよ。苦手な人や想定外のハプニングこそ、自分に必要なことを教えてくれていますよね。

    増田 YouTubeは何年前から始められたのですか?

    浅見 ちょうどコロナショックの時に始めたので5年ですね。
    YouTubeって本当に不思議で、こちらの心が整って楽しくワクワクしていると、再生回数とかフォロワー数が上がっていくんです。よく「どうやって増やしたらいいんですか」って質問が来るんですけど、それはコンテンツやテクニックの問題じゃなくて、あなたの気持ちが一番ワクワク乗っている時に配信すること。もうそれだけなんですよ。
    例えば、この対談は盛り上がって楽しくなるに決まっているので、絶対にこの後に撮影するとうまくいく。普段もそういう楽しい時間の後は何も予定を入れずに空けておいて、その盛り上がりを深掘りしたり、その楽しいエネルギーの時に仕事の構想を考えたりするようにしています。

    作家・エッセイスト

    浅見帆帆子

    あさみ・ほほこ

    東京都生まれ。幼少より青山学院に学び、同大学国際政経学部卒業後ロンドンに留学、インテリアデザインを学ぶ。帰国後、執筆活動に入り、代表作『あなたは絶対! 運がいい』(廣済堂出版)をはじめ著書累計は600万部以上、海外でも翻訳出版される。オンラインサロン「Well Being 本当の自分を生きるサロン」、フォロワー12万人のYouTubeチャンネル、ジュエリー&アパレルブランドの運営など、多方面で活躍中。最新刊に『あなたも今日から変われるよ』(幻冬舎)。