近年、ノーベル賞受賞者に次々と日本人の名が連ねられている。新薬の開発や液晶など様々な分野に応用される「クロスカップリング反応」を発見し、平成22年にノーベル化学賞を受賞された根岸英一氏も、またそのお一人である。若くして世界トップクラスの研究者になろうと志を立て、常に最高レベルの研究に挑戦し続けてこられた氏の研究に懸ける思いとともに、その人生行路をお話しいただいた。
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米パデュー大学特別教授
根岸英一
ねぎし・えいいち
昭和10年旧満洲長春生まれ。東京大学工学部応用化学科卒業後、33年帝人株式会社に入社。35年帝人を休職して、フルブライト奨学生としてペンシルベニア大学大学院に留学。41年帝人を退職、パデュー大学博士研究員に。47年シラキュース大学助教授、同准教授を経て、54年パデュー大学に移籍し、教授に就任。平成元年同大学化学科特別教授に就任。有機合成におけるパラジウム触媒クロスカップリングに関する業績で、22年ノーベル化学賞を受賞。著書に『夢を持ち続けよう!』(共同通信社)がある。