少年期から考古学に魅せられ、大学卒業後単身トルコに渡り、現在もなお周囲に麦畑しかないような遺跡で発掘調査を続ける大村幸弘氏。現地に根を下ろし、黙々と日々発掘に励むその歩みは実に半世紀に及ぶ。土と汗にまみれた研究は2017年、世界最古の人工鉄の発見として結実する。そこに至る誠実一筋に歩んできた道のりを大村氏に語っていただいた。
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考古学者
大村幸弘
おおむら・さちひろ
昭和21年岩手県生まれ。早稲田大学第一文学部西洋史科卒業後、トルコ政府給費留学生としてアンカラ大学言語・歴史・地理学部ヒッタイト学科に留学。中近東考古学科博士課程修了。帰国後、中近東文化センター勤務。60年よりトルコのカマン・カレホユック遺跡の発掘調査に従事。(公財)中近東文化センター附属アナトリア考古学研究所所長、中近東文化センター理事長、カマン・カレホユック遺跡調査隊長。著書に『鉄を生み出した帝国―ヒッタイト発掘』(NHKブックス)『トルコ』(山川出版社)など。