「拓く」とは開拓することである。「進む」とは続けることである。分野を問わず、未開の地を拓き進むことで人類は文化文明を発展させてきた。
その意味で10月初旬、日本列島を嬉しいニュースが駆け巡った。2人の日本人科学者がノーベル賞を受賞したのである。
一人はノーベル生理学・医学賞を受賞した坂口志文さん。
もう一人はノーベル化学賞を受賞した北川進さん。共に74歳、そして共に半世紀にわたる努力が認められての受賞である。
坂口さんの受賞理由は「制御性T細胞」の発見。人間の体にはウイルスや細菌を攻撃する免疫細胞があるが、この中には正常な細胞まで攻撃してしまう細胞がある。この正常な細胞への攻撃を防ぐのが、制御性T細胞。
坂口さんがこのブレーキ役の存在を突きつめたのは研究開始から20年近くたった1995年。それから30年たっての受賞である。