産婦人科関連の医薬品でトップクラスを誇る富士製薬工業。同社には他社にはない10数年来の取り組みがある。徳目評価を組み込んだ独自の人事制度である。会長の今井博文氏が事業における徳の重要さに気づいたのは約20年前。爾来、徳に力点を置いた経営を続け、業績を飛躍的に伸ばしている。今井氏が師と仰ぐ東洋思想研究家の田口佳史氏と共に、これまでの歩みを振り返っていただきながら、事業のあるべき姿を語り合っていただいた。
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東洋思想研究家
田口佳史
たぐち・よしふみ
昭和17年東京都生まれ。新進の記録映画監督としてバンコク市郊外で撮影中、水牛2頭に襲われ瀕死の重傷を負う。生死の狭間で『老子』と運命的に出会い、東洋思想研究に転身。「東洋思想」を基盤とする経営思想体系「タオ・マネジメント」を構築・実践し、1万人超の企業経営者や政治家らを育て上げてきた。主な著書(致知出版社刊)に『「大学」に学ぶ人間学』『「書経」講義録』他多数。最新刊に『「中庸」講義録』。
富士製薬工業会長
今井博文
いまい・ひろふみ
昭和39年富山県生まれ。62年富士製薬工業に入社。取締役、専務を経て平成10年社長に就任。24年東証一部上場を果たす。28年代表取締役会長。公益財団法人今井精一記念財団代表理事も務める。