2016年10月号
特集
人生の要訣
インタビュー3
  • 牧師・国際手話通訳者郡 美矢

どんなことであっても諦めない。その姿勢が私の人生を拓いてきた

ろう者の牧師として障がいを持つ人々の苦悩に向き合いながら、国際手話通訳者として世界を舞台に活躍している郡 美矢さん。生まれつき耳が聞こえないハンディにも決して負けることなく、自らの人生を力強く切り拓いてこられた郡さんに、その半生と心の拠り所となってきた両親の言葉や『聖書』の教えについてお話しいただいた。

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ろう者の牧師であり国際手話通訳者

──郡さんは、ご自身もろう者でありながら、日本では数少ない国際手話通訳者として世界各国を飛び回っておられるそうですね。

はい、そうなのですが、私の正式な本職は牧師なんですよ。現在は広島県の三滝グリーンチャペルの牧師をしていまして、日曜日の礼拝や毎週水曜日の婦人集会の他、毎週木曜日の『聖書』研究会、あと月に2回は大阪で主婦向けに『聖書』を教えています。この9月には、私も理事を務めるろう者のクリスチャンの世界会議がオーストラリアで開かれますので、1週間ほど現地に行く予定です。
それで、11月にはアジア太平洋手話翻訳協会の理事会でフィリピンへ行きますが、そこでは国際手話通訳者としての仕事をします。平成18年に、国連総会において「手話は言語である」と認定されまして、手話翻訳の仕事が増えました。音声言語である日本語を日本手話に訳す仕事などがそうです。

──日本の手話と、海外の手話は共通ではないんですね。

公用手話である国際手話はありますが、同じ英語圏でもアメリカとオーストラリアは手話が全く違います。私は国際手話の他、4か国語の手話を習得しました。

──郡さんのように、国際手話通訳ができる方は日本にどれくらいいらっしゃるのですか。

ろう者で国際手話通訳ができるのは、国内でも10人いるかいなかだと思います。毎日とても忙しいですね(笑)。

牧師・国際手話通訳者

郡 美矢

こおり・みや

昭和45年徳島県生まれ。高校卒業後、カナダで歯科技工師として勤務。その後米国に留学し、ろう教育と神学を専攻、牧師として世界各国で奉仕活動を経験。平成18年日本に帰国後は、兵庫県の但馬神愛キリスト教会、広島県の三滝グリーンチャペルに勤める。公用手話の国際手話の他、4か国語の手話に精通する日本では数少ない国際手話通訳者としても活躍。著書に『あなたは見えないところで愛されている』(角川書店)がある。