仏教詩人として知られる坂村真民先生。97年の生涯でつくられた数多くの詩は、没後19年が経ったいまなお人々に寄り添い、生きる力や希望を与え続けている。真民先生と長年交流があり、その生き方や詩をいまも修行の指針とする愛知専門尼僧堂堂頭・青山俊董師と、真民先生のご息女である西澤真美子氏。多くの苦難をも人生よき出会いと受け止め、詩に命を注ぎ続けた真民先生の人生を語り合っていただいた。
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坂村真民
さかむら・しんみん
明治42年熊本県生まれ。昭和6年神宮皇學館(現・皇學館大学)卒業。25歳の時、朝鮮で教職に就き、36歳で全州師範学校勤務中に終戦を迎える。帰国後、21年から愛媛県で高校教師を務め、65歳で退職。以後、詩作に専念。四国に移住後、一遍上人の信仰に随順して仏教精神を基調とした詩の創作に転じ、37年月刊個人詩誌『詩国』を創刊。平成11年愛媛県功労賞、15年熊本県近代文化功労者賞受賞。詩集に『坂村真民全詩集』全8巻(大東出版社)、『坂村真民一日一言』『坂村真民一日一詩』(いずれも致知出版社)などがある。18年12月、97歳で他界。
愛知専門尼僧堂堂頭
青山俊董
あおやま・しゅんどう
昭和8年愛知県生まれ。5歳の時、長野県の曹洞宗無量寺に入門。駒澤大学仏教学部卒業、同大学院修了。51年より愛知専門尼僧堂堂頭。参禅指導、講演、執筆のほか、茶道、華道の教授としても禅の普及に努めている。平成16年女性では2人目の仏教伝道功労賞を受賞。21年曹洞宗の僧階「大教師」に尼僧として初めて就任。令和4年1月より曹洞宗大本山總持寺の西堂に就任。著書に『道はるかなりとも』(佼成出版社)『一度きりの人生だから』(海竜社)『泥があるから、花は咲く』(幻冬舎)『あなたに贈る人生の道しるべ』(春秋社)など多数。
坂村真民先生ご息女
西澤真美子
にしざわ・まみこ
昭和24年愛媛県生まれ。坂村真民氏の末娘。大学入学と同時に親元を離れたが、「念ずれば花ひらく」詩碑建立や国内外の旅行などを真民氏と共にする。母親の病気を機に愛媛県砥部町に戻り、その後、病床の母を見守った。平成24年の坂村真民記念館設立にも尽力。