世界を代表する芸術家の一人に数えられる外尾悦郎氏。スペイン・バルセロナにあるサグラダ・ファミリア教会、着工から136年経ったいまなお建設が続く大事業に40年間携わっている。2015年にノーベル物理学賞を受賞した梶田隆章氏。「ニュートリノ振動」の現象を捉え、ニュートリノに質量があることを世界で初めて証明し、素粒子物理学の進歩に多大な貢献をもたらした。片や彫刻、片や研究に人生を懸け、一つの道をつくってきたお二人が語り合う、体験を通して掴んだ人生の心得とはいかなるものか。
東京大学宇宙線研究所所長
梶田隆章
かじた・たかあき
1959年埼玉県生まれ。1981年埼玉大学理学部卒業。1986年東京大学大学院博士課程修了。超新星ニュートリノを史上初めて観測した「カミオカンデ実験」、質量ゼロと考えられてきたニュートリノに質量があることを明らかにした「スーパーカミオカンデ実験」に参加。1999年仁科記念賞、2010年戸塚洋二賞、2012年日本学士院賞受賞。2015年文化勲章受章。同年「ニュートリノ振動の発見」により、アーサー・B・マクドナルドと共に、ノーベル物理学賞受賞。2008年より現職。著書に『ニュートリノで探る宇宙と素粒子』(平凡社)『ニュートリノ 小さな大発見』(朝日選書)など。
サグラダ・ファミリア芸術工房監督
外尾悦郎
そとお・えつろう
1953年福岡県生まれ。1977年京都市立芸術大学彫刻科卒業。中学校・高校の定時制非常勤講師として勤務した後、バルセロナへ。1978年以来、サグラダ・ファミリア教会の彫刻に携わり、2000年に完成させた「生誕の門」が世界遺産に登録される。日本とスペインとの文化交流の促進の功績により、平成20年度外務大臣表彰、2012年ミケランジェロ賞など、国内外で受賞多数。2013年より現職。著書に『ガウディの伝言』(光文社)『サグラダ・ファミリア ガウディとの対話』(原書房)など。サン・ジョルディ・カタルーニャ芸術院会員。