西洋列強が迫りくる幕末の激動の時代に、「読書尚友」の実践によって自らを練り上げ、日本の進むべき道を示し続けた英傑がいた。横井小楠と吉田松陰である。そして現代にも読書を通じてその2人の先達を尚友とし、半世紀近く学び続けている人がいる。田口佳史、川口雅昭の両氏である。その2人がここに会して語る「読書尚友」の神髄と、尚友に学んだもの――。
吉田松陰
よしだ・しょういん
文政13(1830)年~安政6(1859)年。幕末の思想家、教育者。長州藩士。山鹿流兵学師範の叔父・吉田大助の仮養子となり、兵学と経学を学ぶ。9歳から藩校明倫館で山鹿流兵学を教授。嘉永3年から諸国を遊学。7年下田沖のアメリカペリー艦隊へ漕ぎ寄せ、「下田事件」を起こしたが失敗して入獄。出獄後、萩の松下村塾を継ぎ、高杉晋作・伊藤博文らの多くの人材を育成。「安政の大獄」で刑死。
人間環境大学特任教授、皇學館大学教職アドバイザー
川口雅昭
かわぐち・まさあき
昭和28年山口県生まれ。53年広島大学大学院教育学研究科博士課程前期修了。山口県立高校教諭。山口県史編さん室専門研究員などを経て、平成10年岡崎学園国際短期大学教授、12年より人間環境大学教授。吉田松陰研究は18歳の頃より携わる。令和元年より現職。編著に『吉田松陰一日一言』『「孟子」一日一言』。著書に『吉田松陰』『吉田松陰に学ぶ男の磨き方』『活学新書 吉田松陰修養訓』(いずれも致知出版社)などがある。