さしがね一本で膨大かつ精緻な図面を描き起こし、材木の癖を見抜いて巧みに組み上げる。こうした日本の宮大工の伝統技術、匠の心を受け継ぐ数少ない現役棟梁が、田子和則氏である。物心つく前から先祖伝来の規矩術に触れ、木と共に歩み、人を惹きつける数寄屋を天命として手掛けてきた74歳。その言葉は、単に大工の道を説くものではなく、日本人、人間の生き方をも示唆している。
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田子式規矩法大和流六代目
田子和則
たご・かずのり
昭和27年群馬県生まれ。62年清水寺三重塔落慶法要に宮大工棟梁として参加。平成元年田子式規矩法大和流六代目を襲名、翌年宮大工古式伝統保存会を設立。平成5年米アラバマ州バーミングハム市に茶室「燈心庵」建設。7年サムエル・ウルマン賞を贈られる。群馬県の職業訓練校で長年教鞭を執り講師、校長を約26年務める。23年㈱番匠設立。