2026年5月号
特集
人を育てる
インタビュー③
  • ユーグレナCo-CEO植村弘子

リーダーは
自分の背中で見せる

微細藻類ミドリムシ(学名:ユーグレナ)の食用屋外大量培養に世界で初めて成功し、食品からバイオ燃料まで多岐にわたる事業を展開する㈱ユーグレナ。しかし、2017年からは7年連続赤字と、経営不振に陥っていた。2024年にCo-CEOに抜擢された植村弘子氏は、いかにして組織改革を断行し、僅か1年で黒字化を実現したのか。その挑戦と葛藤の日々を振り返っていただき、人を育て、強い組織をつくる秘訣に迫る。

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    ユーグレナCo-CEO

    植村弘子

    うえむら・ひろこ

    昭和53年生まれ。平成13年エスビー食品に入社、営業・PB商品の企画に従事。18年一休に入社。レストラン事業、宿泊事業従事後、カスタマーサービス部部長、執行役員CHRO 管理本部長を歴任。令和5年4月㈱ユーグレナ入社。執行役員CSXO(最高ステークホルダー責任者)兼人事部長を経て、6年1月より現職。

    信じられるものを信じる会社にしたい

    ──植村さんは㈱ユーグレナのCo-CEO(共同最高経営責任者)として、同社の組織改革を推進してこられました。

    私たちは「人と地球を健康にする」をパーパスに掲げ、ヘルスケアやバイオ燃料を事業の柱に展開しています。2025年には創業20年を迎え、売上高は過去最高となる504億円、営業利益は31億円を記録しました。
    そもそも私が㈱ユーグレナに出合ったのは、宿泊やレストランの予約サイトを運営する一休いっきゅうに勤めていた15年以上前のことです。とあるイベントの表彰式に参加した折、創業者の出雲いずもみつるのスピーチに心を揺さぶられました。
    「ミドリムシで世界を救う」。熱いこころざしに触れ、こんな人が世の中にいるのかと涙が止まりませんでしたね。その場でユーグレナを検索すると「1名募集」と出てきて、この会社に行こうと決めたんです。
    ただ、翌日に熱い思いを一休の森まさぶみ創業社長に伝えたら、「世界を救う前に一休を救ってから行け」と言われまして(笑)。一度は思い留まり、㈱ユーグレナが上場した時にはすぐに株主となって外部からエールを送り続けました。

    ──熱烈なファンだったのですね。

    ええ。しかし、いざ2023年に入社して真っ先に感じたのは、寂しさでした。創業期からの度重なる苦労の結果、ミドリムシに対して確信を持ち切れなくなっている社員が多くいたんです。
    ㈱ユーグレナの原点は100%、ミドリムシなんですよね。5億年前から存在するこの微生物に多くの人がロマンを感じ、研究を重ねてきた歴史の上に、世界初の食用屋外大量培養に成功したわけです。
    そういう意味では、私たちは大勢の思いを背負った挑戦者です。それにもかかわらず、ミドリムシを信じられなくなったら、この会社の挑戦は叶わない。信じられるものを信じる会社にしたいという一心で、改革に取り組んできました。

    ──ああ、信じられるものを信じる会社に。

    経営のテーマに掲げたのが「原点回帰」、すなわち研究開発です。ミドリムシを中心に研究開発を積極的に行い、生み出したものを実装して、社会課題の解決につなげていく。これを重点領域に据えるために、組織構造の根本的な改革にも着手し、削るべきものを徹底して削っていきました。
    詳しくはのちほどお話ししますが、人生で最も熱く苦しい2年間でした。それでも、すべての問題を解決し、3年目となる今年(2026年)の初めに「あとはやるだけだ、ミドリムシを信じて行くぞ!」と宣言できたことは、感慨深いですね。