2018年5月号
特集
利他りたに生きる
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利他りたに生きる

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    一つの精子と一つの卵子が結合する。生命誕生の始まりである。

    1回の射精で1億とも2億ともいわれる精子の群れが一つの卵子めがけ、我先にと突進していく。そして一番最初に一つの精子が卵子に達した瞬間核ができ、後から来る精子を一切受けつけなくなる。もし別の精子が卵子と結びついていたら、自分という生命はない。1億何千万との競争に打ち勝って、私たちの生命はいまここにある。

    これは厳粛げんしゅくかつ神秘的な事実だが、10年ほど前、たまたま見たテレビ番組がこのテーマを取り上げていて、さらに驚いた。それによると、大量の精子はすべて卵子に向かっていくのではなく、一群は途中でくるりと向きを変え、自分たちの仲間以外の精子が入ってくるのを阻止そし、撃破するのだという。仲間の選良せんりょうが卵子と早く結びつくのを助けるためである。