長い歴史の中で子供たちのテキストとして読み続けられた『実語教』『童子教』という書物がある。とりわけ『実語教』は平安時代に生まれ、実に1,000年もの間、日本人の精神形成の支柱となってきた。両書を貫くもの、これがいまや日本人が忘れ去ろうとしている勤勉精神である。幼少期から『実語教』の教えに親しんできたJFEホールディングス名誉顧問・數土文夫氏と、弊社から『実語教』『童子教』の解説書を刊行している明治大学教授・齋藤孝氏に、その魅力や現代的な意義について語り合っていただいた。
JFEホールディングス名誉顧問
數土文夫
すど・ふみお
昭和16年富山県生まれ。39年北海道大学工学部冶金工学科を卒業後、川崎製鉄に入社。平成13年社長に就任。15年経営統合後の鉄鋼事業会社JFEスチールの初代社長となる。17年JFEホールディングス社長に就任。22年相談役。経済同友会副代表幹事や日本放送協会経営委員会委員長、東京電力会長などを歴任し、令和元年よりJFEホールディングス名誉顧問。新著に『徳望を磨くリーダーの実践訓』(致知出版社)。
明治大学文学部教授
齋藤 孝
さいとう・たかし
昭和35年静岡県生まれ。東京大学法学部卒業。同大学院教育学研究科博士課程を経て、現在明治大学文学部教授。著書に『子どもと声に出して読みたい「実語教」』『子どもと声に出して読みたい「童子教」』『齋藤孝のこくご教科書 小学一年生』『国語の力がグングン伸びる1分間速音読ドリル』『心を軽やかにする小林一茶名句百選』(いずれも致知出版社)など多数。